先輩、聞いてください!水素って凄いんですよ!
うん?水素?いきなりどうしたの?
だって、普段から会社では「ゼロカーボンに取り組もう」って言ってるじゃないですか。だから私、調べてきたんです!水素ってゼロカーボンになるんですよ!
へえ!それは熱心だね。確かに水素は次世代のエネルギーとして注目されているよね。
でしょでしょ!早速、我が社にも取り入れましょう!
電灯もパソコンも、みんな水素エネルギーにしちゃいましょう!
…ま、まあ意気込みは素晴らしいね。
ところで、「水素がゼロカーボンになる」ということは、グリーン水素のことを言っているのかな?
えっ?グリーン?どういうことですか?水素は水素ですよ。
それがね、水素って2次エネルギーだから、その製造過程に違いがあるんだ。製造過程ごとで色分けの通称があって、中にはゼロカーボンにならない水素もあるんだよ。
2次エネルギー、製造過程、色分け、ゼロカーボンにならない…
じゃ、じゃあ順を追って説明していこうか。
お願いしま~す。
大前ひかり 2021年入社。物販店舗、病院福祉向けのエネルギーマネジメントに従事。持ち前の好奇心で先輩に聞きまくる若手ホープ。 |
まず、水素の色の説明の前に、2次エネルギーという概念から理解しよう。そもそも水素はどこから来るのかな?
そう言われてみると…
石油みたいに掘っても出てこないし、空気中に含まれているのを取ってくるとか?
そう思うよね。意外な事実だけど、水素って自然界での存在が最も多い物質にも関わらず、水素単体としてはほとんど存在していなくて、化合物となっているんだ。
化合物…。他の物質とくっついて存在しているということですか?
そのとおり!代表的なのが、水。水素と酸素の化合物だね。
そうか!化学式でH2Oって書きますもんね!
じゃあ、水素エネルギーを使うには化合物から水素を取り出しているということですか?
正解!このように自然界では存在せず、何らかの加工によって作られるエネルギーを2次エネルギーと言うんだ。逆に、自然界に存在しているエネルギーは1次エネルギーと言うんだよ。
なるほど~。
あれ?電気なんかも自然界に存在せず、発電所で燃料を燃やしたりして作られますよね?電気も2次エネルギーということ?
そう、電気も2次エネルギーなんだ。
だから、一言で電気と言っても、作られたのが太陽光発電なのか火力発電所で作られたのかで、ゼロカーボンになったり、ならなかったりするでしょう?
確かに…。あ!それが最初に言っていた「ゼロカーボンにならない水素」もあるということですか?水素も2次エネルギーだから、大元の化合物で変わると…
そうなんだ。水素は大元の化合物と、その化合物から水素を取り出すためのエネルギーで、ゼロカーボンになったりならなかったりするんだよ。大元の化合物には水(H2O)やメタン(CH4)などがあるね。
ふむふむ。だいぶ分かってきました。でも、水素がどんな風に作られるかが今いちピンと来ないなあ…。
………。
………。
じゃ、じゃあそれも簡単に説明しようか!
お願いしま~す。
柴谷一平 2016年入社。金融機関、デベロッパー向けの再エネ導入提案の技術検討を担当。いつも優しく頼もしい、セールスエンジニアのエース。 |
まず、現在よく使われている水素の化合物としては、水とメタンがある。水はさっき言ってくれたように、水素2つと酸素が1つ。メタンは炭素1つと水素が4つ。
化学の時間で習った…ような…
じゃあ水から水素を取り出すことを考えてみよう。
理科で習った「水の電気分解」を覚えているかな?
習った…ような…
じゃ、じゃあ復習ということで。
水の中に二つの電極を落として、そこに電気を流してみる。すると、水素と酸素に分解されるんだ。
へえ、凄い!
あ、いや、思い出しました!そうそう、そうでした!
………。
電極の陽極に酸素、陰極に水素が生成される。ここで大事なのが、「電気を流す」という行為だね。
本当ですね。エネルギーを取り出すためにエネルギーを使っています。何だか無駄なような。
そう。でも、水を分解するための電気が太陽光や風力のような再生可能エネルギーで作られた電気だったらどうだろう?
あ、それは素敵ですね!再生可能エネルギーだから、ゼロカーボンで水が分解されて水素がゲットできちゃう!
そのとおり。こうして再生可能エネルギーで電気分解して得た水素はゼロカーボン。通称・グリーン水素と呼ばれるんだ。
再エネで作る水素だからグリーン。言われてみれば、納得できる理由ですね。
一方、水素を生成する際に温室効果ガスを排出してしまう場合は、グレー水素と呼ばれる。
グレーというと、なんだかちょっと沈んで感じますね。じゃあ電気分解の電気に火力発電を使っちゃうとグレー水素になっちゃうのかあ…
実は、そうとも言い切れない。火力発電から排出される温室効果ガスを捕まえる技術が開発されているんだ。それを使えば、ゼロカーボンと言える。そんな水素をブルー水素というんだよ。
ええ!そんな技術もあるんですね。グレーからブルー、パッと鮮やかさが蘇りました!この勢いで、イエローやピンクも欲しいですね!
実は…イエローもピンクもあるんだ。
うそー!
電気分解に使う電気が原子力発電所由来だとすれば、これもまたゼロカーボンになる。こんな水素がイエローまたはピンク水素と言われている。
色とりどりですね…。目がチカチカしてきた…。
ま、まあ実際には水素に色が付いているわけではないので、あくまで解釈上の分類だけどね。
私は爽やかなブルーが良いなあ…。でも、ピンクもかわいくて捨てがたい。いやいや、今年のファッションはグリーンが流行るとか…。
………。
というわけで、一言で水素と言っても、その成り立ちでゼロカーボンになるかどうかは分かれてくるんだよ。
うん!よくわかりました!
でも、よく考えたら原子力発電所の電気で水素を生成するというなら会社のそばでは無理ですよね?水素って、どうやって運ばれてくるんだろう?
良い質問だね。そのとおり水素は「どうやって運ぶか」を考える必要があって、その鍵になるのが、先に言ったもうひとつの化合物・メタンなんだ。
え?メタン?どういうことですか?
おっと、次の仕事があるんだ!
続きはまた今度ね。
は~い。
メタンで運ぶ…?どういうことだろう???
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