脱炭素について、もっと知りたい!
けれど、どう勉強して良いのか分からない。
インターネット検索でもピンと来る情報がヒットしなかったり、真偽が怪しかったりします。
そんな時のために、腰を据えて学べる書籍が欲しいですよね。
ゼロカーボン板きっての読書オタク、井伊・林。
活字ジャンキーの二人に、ゼロカーボンについて学べるオススメ書籍をセレクトしてもらいました。
(左) 井伊淳平/ソリューション本部 法人営業第一部 兵庫グループ副長
(右) 林直人/ソリューション本部 法人営業第一部 法人営業グループ課長
—— 読書オタクの二人に、ゼロカーボンを学べる書籍を紹介してもらいます。まずは、経営に関わる内容が知りたいです。
井伊 そのものズバリ「脱炭素経営入門」をおすすめします!
この本は、RE100、TCFD、SBTなど、よく聞く環境用語について、脱炭素経営の構造にならって体系的に理解できるのが良いですね。
林 ひとまずこの本を読めば気候変動の概略はつかめます。
日本ではあまり話題にならないカーボンバジェットについても詳しく書いてあるし。
ちなみにカーボンバジェットについては、こちらの記事もチェックしてみてください。
井伊 カーボンバジェットを規定する「累積排出量」という考えは初めて知りました。
僕たちは単年の排出量の削減を気にしがちだけど…
改めて考えると、気温上昇は今だけでなくこれまで排出された温室効果ガスが大気中に溜まっているからですもんね。
温室効果ガス削減目標のターゲットがなぜ「2030年」なのか、こういった考えをもとに定められているのかと、すごく腑に落ちました。
—— でも、そもそも脱炭素っていつからこんなに騒がれていたんですか?唐突感があって付いていけない人も多いと思います。
林 それなら「ESG思考」なんて良いんじゃないかな。
日本では2015年のパリ協定や、2019年のカーボンニュートラル宣言が脱炭素のきっかけだと思われがちです。
それに対して、欧州の文脈ではリーマンショックから続いていることが分かります。
井伊 世界がどのように脱炭素に向けて盛り上がってきたか把握できるので、思考の補助線になりますよね。
私の中ですごく頭に残っているのは、「ニュー資本主義」という考え方です。
足下では「費用がかさむけれど、CSRの文脈で環境の取組をしなくてはならない」という、義務感に似た姿勢が多い印象です。
求められているのは、いかに環境の取組を企業価値に組み込んで、相乗効果を生み出す仕組みづくりではないでしょうか。
我々も知恵を絞らないとアカンなあ…と気付かされました。
林 この本は、投資家からの目線でも書かれています。
資本主義、投資家というと、脱炭素の文脈と離れてしまうように思われるかも知れないけれど…。
短期リターンの追及が結果的にリーマンショックを引き起こしてしまったとも言われています。
そうした反省が活かされ、気候危機のような長期リスクと正面から向き合うようになった歴史は、もっと知られるべきだと思います。
—— なるほど、脱炭素から世界で台頭する新しい価値観が見えてくるのは面白いですね。
特に、欧州が脱炭素に対するアクセルが強い印象があります。
そのあたりが詳しい本はありますか?
井伊 それはもう「環境覇権」読めば一発ですね。
副題が「欧州発、激化するパワーゲーム」なので、脱炭素に対する各国の思惑、決して綺麗事だけではない生々しいビジネスの実態が描写されています。
林 「欧州はルールメイカー」と言われて久しいけど、まさに脱炭素の世界でも同様の動きをしている。
EUタクソノミー、EU-ETS、CBAMなど、サステナブルな経済活動の定義・分類、排出権取引、EU域内への輸入に対する規制を次々と打ち立てています。
ルールメイキングによって脱炭素と域内利益最大化との両立を図るタフさがうかがえますね。
井伊 日本にいると、なぜいきなりGX-ETSのような排出権取引制度が立ち上がってきたのか、着いていけなくなるでしょう。
グローバルの視座から日本の取組を見通すと「なるほどね」となります。
—— 中にいると分からない、外から見て初めて日本の政策が分かるということですね。
もう少し脱炭素という取組だけでなく、エネルギーや気候危機を俯瞰して学べる本はありますか?
林 僕はいつも「エネルギーをめぐる旅」を読んでくれ、そこに全てが書いてあると言い続けています。
井伊 すごいセールストーク(笑)
林 エネルギーをテーマに、これまでの人類の進歩、文明が切り開かれた歴史が丸ごと詰まった名著です。
もちろん、その中で気候危機という現代に繋がる課題も見えてきます。
マクスウェルやカルノーのような偉人から、エントロピーなど諸学者にはとっつきにくい概念も出てくるけど、がんばって読んでみてほしい。
たとえば、火力発電と太陽光発電って脱炭素の文脈では違うカテゴリーに入れられるでしょう。
それが「太陽エネルギー由来」という意味では、火力も太陽光も、水力、風力も同じカテゴリーなんだと。
そんな知的刺激に満ちた話が盛りだくさんです。
井伊 実務書ではなくても、こういう「知の集大成」のような書物に触れることは、豊かな読書体験ですよね。
—— 最後に、脱炭素に限らず、最近読んだ本で印象に残ったものを挙げてください。
井伊 今は法人のお客さまに接する立場にいるので、「付加価値のつくりかた」はオススメですね。
付加価値とはお客さまのニーズを叶えるものであり、「お客さまのニーズを超えた部分は付加価値ではなく、ムダ」だと。
しっかり実際に現場に行って、お客さまと同じ光景をみながら、お客さまのお困りごとを正確にくみ取り、相手のニーズがそこにあるかというのは徹底していきたい。
などと言いつつ、ふと毎年はじめに立てている自分自身の行動宣言を見返すと、「お客さまの期待を大きく上回る活動をします」と書いてありました。
「ニーズを超えた部分はムダ」と言いながら、ニーズを超えることを目標にしちゃっていた(笑)
林 ムダを作る目標にしちゃっていたわけか(笑)
僕は最近だと「汝、星のごとく」に感動しました。続編の「星を編む」も良かったなあ。
全然仕事と関係なくてごめん(笑)
著者の凪良ゆうさんのファンでして。
日常を生きていると「自覚はできているのに、言葉で言い表せない物事や感情」ってあるでしょう。
それを文章の表現に落とし込む力がズバ抜けていて、憧れます。
仕事で行き詰ったりした時、小説を読むと頭がスッキリするんです。
違う人物の人生を追体験することで、自分が相対化されるのかな。
「読書してストレス解消」みたいな感じですね。
※本記事は作成者個人の意見や感想に基づき記載しています。
※この記事は2023年1月時点の情報に基づき作成しております。
けれど、どう勉強して良いのか分からない。
インターネット検索でもピンと来る情報がヒットしなかったり、真偽が怪しかったりします。
そんな時のために、腰を据えて学べる書籍が欲しいですよね。
ゼロカーボン板きっての読書オタク、井伊・林。
活字ジャンキーの二人に、ゼロカーボンについて学べるオススメ書籍をセレクトしてもらいました。
(左) 井伊淳平/ソリューション本部 法人営業第一部 兵庫グループ副長
(右) 林直人/ソリューション本部 法人営業第一部 法人営業グループ課長
—— 読書オタクの二人に、ゼロカーボンを学べる書籍を紹介してもらいます。まずは、経営に関わる内容が知りたいです。
井伊 そのものズバリ「脱炭素経営入門」をおすすめします!
この本は、RE100、TCFD、SBTなど、よく聞く環境用語について、脱炭素経営の構造にならって体系的に理解できるのが良いですね。
林 ひとまずこの本を読めば気候変動の概略はつかめます。
日本ではあまり話題にならないカーボンバジェットについても詳しく書いてあるし。
ちなみにカーボンバジェットについては、こちらの記事もチェックしてみてください。
井伊 カーボンバジェットを規定する「累積排出量」という考えは初めて知りました。
僕たちは単年の排出量の削減を気にしがちだけど…
改めて考えると、気温上昇は今だけでなくこれまで排出された温室効果ガスが大気中に溜まっているからですもんね。
温室効果ガス削減目標のターゲットがなぜ「2030年」なのか、こういった考えをもとに定められているのかと、すごく腑に落ちました。
脱炭素経営入門 >>> こちら (外部リンク)
—— でも、そもそも脱炭素っていつからこんなに騒がれていたんですか?唐突感があって付いていけない人も多いと思います。
林 それなら「ESG思考」なんて良いんじゃないかな。
日本では2015年のパリ協定や、2019年のカーボンニュートラル宣言が脱炭素のきっかけだと思われがちです。
それに対して、欧州の文脈ではリーマンショックから続いていることが分かります。
井伊 世界がどのように脱炭素に向けて盛り上がってきたか把握できるので、思考の補助線になりますよね。
私の中ですごく頭に残っているのは、「ニュー資本主義」という考え方です。
足下では「費用がかさむけれど、CSRの文脈で環境の取組をしなくてはならない」という、義務感に似た姿勢が多い印象です。
求められているのは、いかに環境の取組を企業価値に組み込んで、相乗効果を生み出す仕組みづくりではないでしょうか。
我々も知恵を絞らないとアカンなあ…と気付かされました。
林 この本は、投資家からの目線でも書かれています。
資本主義、投資家というと、脱炭素の文脈と離れてしまうように思われるかも知れないけれど…。
短期リターンの追及が結果的にリーマンショックを引き起こしてしまったとも言われています。
そうした反省が活かされ、気候危機のような長期リスクと正面から向き合うようになった歴史は、もっと知られるべきだと思います。
ESG思考 激変資本主義1990-2030、経営者も投資家もここまで変わった >>> こちら (外部リンク)
—— なるほど、脱炭素から世界で台頭する新しい価値観が見えてくるのは面白いですね。
特に、欧州が脱炭素に対するアクセルが強い印象があります。
そのあたりが詳しい本はありますか?
井伊 それはもう「環境覇権」読めば一発ですね。
副題が「欧州発、激化するパワーゲーム」なので、脱炭素に対する各国の思惑、決して綺麗事だけではない生々しいビジネスの実態が描写されています。
林 「欧州はルールメイカー」と言われて久しいけど、まさに脱炭素の世界でも同様の動きをしている。
EUタクソノミー、EU-ETS、CBAMなど、サステナブルな経済活動の定義・分類、排出権取引、EU域内への輸入に対する規制を次々と打ち立てています。
ルールメイキングによって脱炭素と域内利益最大化との両立を図るタフさがうかがえますね。
井伊 日本にいると、なぜいきなりGX-ETSのような排出権取引制度が立ち上がってきたのか、着いていけなくなるでしょう。
グローバルの視座から日本の取組を見通すと「なるほどね」となります。
環境覇権 欧州発、激化するパワーゲーム >>> こちら (外部リンク)
—— 中にいると分からない、外から見て初めて日本の政策が分かるということですね。
もう少し脱炭素という取組だけでなく、エネルギーや気候危機を俯瞰して学べる本はありますか?
林 僕はいつも「エネルギーをめぐる旅」を読んでくれ、そこに全てが書いてあると言い続けています。
井伊 すごいセールストーク(笑)
林 エネルギーをテーマに、これまでの人類の進歩、文明が切り開かれた歴史が丸ごと詰まった名著です。
もちろん、その中で気候危機という現代に繋がる課題も見えてきます。
マクスウェルやカルノーのような偉人から、エントロピーなど諸学者にはとっつきにくい概念も出てくるけど、がんばって読んでみてほしい。
たとえば、火力発電と太陽光発電って脱炭素の文脈では違うカテゴリーに入れられるでしょう。
それが「太陽エネルギー由来」という意味では、火力も太陽光も、水力、風力も同じカテゴリーなんだと。
そんな知的刺激に満ちた話が盛りだくさんです。
井伊 実務書ではなくても、こういう「知の集大成」のような書物に触れることは、豊かな読書体験ですよね。
エネルギーをめぐる旅 文明の歴史と私たちの未来 >>> こちら (外部リンク)
—— 最後に、脱炭素に限らず、最近読んだ本で印象に残ったものを挙げてください。
井伊 今は法人のお客さまに接する立場にいるので、「付加価値のつくりかた」はオススメですね。
付加価値とはお客さまのニーズを叶えるものであり、「お客さまのニーズを超えた部分は付加価値ではなく、ムダ」だと。
しっかり実際に現場に行って、お客さまと同じ光景をみながら、お客さまのお困りごとを正確にくみ取り、相手のニーズがそこにあるかというのは徹底していきたい。
などと言いつつ、ふと毎年はじめに立てている自分自身の行動宣言を見返すと、「お客さまの期待を大きく上回る活動をします」と書いてありました。
「ニーズを超えた部分はムダ」と言いながら、ニーズを超えることを目標にしちゃっていた(笑)
付加価値のつくりかた >>> こちら (外部リンク)
林 ムダを作る目標にしちゃっていたわけか(笑)
僕は最近だと「汝、星のごとく」に感動しました。続編の「星を編む」も良かったなあ。
全然仕事と関係なくてごめん(笑)
著者の凪良ゆうさんのファンでして。
日常を生きていると「自覚はできているのに、言葉で言い表せない物事や感情」ってあるでしょう。
それを文章の表現に落とし込む力がズバ抜けていて、憧れます。
仕事で行き詰ったりした時、小説を読むと頭がスッキリするんです。
違う人物の人生を追体験することで、自分が相対化されるのかな。
「読書してストレス解消」みたいな感じですね。
汝、星のごとく >>> こちら (外部リンク)
星を編む >>> こちら (外部リンク)
※本記事は作成者個人の意見や感想に基づき記載しています。
※この記事は2023年1月時点の情報に基づき作成しております。