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最近話題のICPって何?

記事公開日:2023/06/15 最終更新日:2023/07/20
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岡村くん、突然ですが、
環境関連のキーワードで【CP】って知っていますか?

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勿論知っていますよ!
【C】カーボン【P】プライシングですよね!
カーボンプライシングは、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスに価格付けをすることですよね。温室効果ガス排出量の削減に向けて、排出者の行動を変容させるための手法のひとつとして、注目されています。

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正解です!1番イメージしやすいのは、政府によって価格付けされる「炭素税」でしょうか。

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日本でも近い将来、炭素税は導入される予定なのでしょうか?


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実は、日本では既に炭素税の一種である「地球温暖化対策税」が導入されており、二酸化炭素の排出量1トンあたり289円となるように全ての化石燃料に課税されています。EUなど海外の国もよりも安く、排出者の行動を変容させるためには不十分との意見もありますが、エネルギー価格そのものや「石油石炭税」、「揮発油税」などの他税等も加味した全体での負担水準で考える必要があるとの意見もあります。国情や税制はそれぞれ異なるので、単純な比較は難しいところですね。とはいえ、日本も脱炭素成長型経済に移行しなければならないわけでして、2028年度からは新しく「化石燃料賦課金」というのが…

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あっ、先輩、もうそれぐらいで結構です。炭素税は既に導入されていて、今も色々検討されているってことですね!!

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その通りです。それでは、もう一歩踏み込んで、
最近話題の【ICP】は知っていますか?

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あっ、【ICP】ですか~!
2000年頃に流行りましたよね~懐かしい~!

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2000年ですか!?
20年以上前から知っているなんて、凄いですね!

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【I】言いたいことも言えない
【C】こんな世の中じゃ
【P】Poison
ですよね?(ドヤ顔)

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いや、違うからー!急な、反●隆史ー!
これまでの話の流れ、どこいったー!!!

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でも、今振り返ると、「平成」の時代って結構言いたいことを言えていましたよね。

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Poisonの話は、もう広げなくていいから!!
いや、言われてみると確かにそうだけどさ!

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は~い、先輩もう答え言っちゃいます~。
【I】インターナル
【C】カーボン
【P】プライシング
ですね。政府が導入するカーボンプライスとは別に、企業が独自に自社の二酸化炭素排出量に価格付けするものを「インターナルカーボンプライシング」と言います。

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なるほど!企業が独自で炭素価格設定をするのですね!
社内調整など少し面倒くさそうですが、設定する企業にメリットはあるのですか?

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(急に真面目になるな…)
インターナルカーボンプライシングは、企業内部で見積もる炭素の価格であり、企業の脱炭素投資を推進する仕組みです。組織内部への効果としては、脱炭素化に向けた取り組みが将来事業に与える影響を経済価値に換算することで、短期的な収益性にとらわれない将来を見据えた長期的視野での脱炭素投資の意思決定が可能となります。具体的には、炭素価格を動かすことで脱炭素・低炭素投資の意思決定レベルの修正が可能になるため、内外環境変化に応じた脱炭素・低炭素方針の転換が容易になることや、部門でのCO2削減貢献の見える化により、報奨/ペナルティが認識しやすくなるため、企業内部での活動ばらつきによる不公平感が解消されると言われています。

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また、組織外部への効果としては、脱炭素要請に対する企業の姿勢を定量的に示すことができるといった点がメリットです。例えば、ESG投資のための「企業の環境情報開示」を行う国際NGOであるCDPは、各国の主要企業に「CDPの質問書」を送付し、回答に対して分析、評価(スコアリング)を行い、機関投資家に提供しています。この「CDPの質問書」にICP(インターナルカーボンプライシング)に関する項目が設けられています。更に、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)においてもICPを脱炭素の投資指標として活用することが推奨されています。つまり、ICPを導入することは、対外的なアピールにもつながります。


関連記事 【学びたい】TCFD ゼロカーボン時代の企業評価のために
再生可能エネルギーの切り札コーポレートPPA



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設定するメリットがあるのはよくわかったのですが、実際企業での導入は進んでいるのでしょうか?

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CDP質問書に対して、2019年には、世界で1,600社を超える企業が、ICPを導入済みまたは2年以内に導入予定と回答しており、2020年では、その数は、2,000社以上に拡大しています。また、日本企業では、2021年時点で、約280社がICPを導入済みまたは2年以内に導入予定と回答しています。ちなみに、ICPを導入している先進企業の事例は、環境省の資料などでも公表されていまので、もし時間があったら見てみてください。きっと知っている企業の多くが導入を進めていることがわかると思います。


環境省 インターナルカーボンプライシング活用ガイドライン
~企業の脱炭素投資の推進に向けて~(2022年度版)
https://www.env.go.jp/content/000116507.pdf (外部リンク)



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本当だ!普段から利用しているあんな企業もこんな企業も導入しているのですね! ICP、進んでいるじゃないですか!
ススメ、ゼロカーボン!!!

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(急にテンション高いな…)
TCFDでの推奨もあり、情報開示と併せてICPの導入を進める企業は着実に増え続けています。

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じゃあ、いま導入を検討していない企業はもうヤバいってことですか?時代おくれなのですか?

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そんなことは全くありませんよ(笑)
導入企業数から言えば、これから検討を進める企業が大部ですので。しかしながら、ICPに関わらずゼロカーボンの取り組みは、一朝一夕でなるものではありません。

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まずは、たたき台を立案してみて、そこから自社に合うように徐々に検討する領域を増やしていくことが大切です。
少しでも必要と感じたら、すぐに検討に着手してみる。これが重要ではないでしょうか。…いつやるの、いまでしょ!!!

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………。


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その通りですね!
私も思い立ったらすぐ行動するようにします!早速、悩んでいた某案件に、もう一度、挑戦してみようと思います!!!

 
※本記事は作成者個人の意見や感想に基づき記載しています。

プロフィール

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岡村 裕之

広島県出身。大学・大学院でJAXAと共同研究をした後、関西電力と宇宙を繋げるという野望のもと入社。現在2年目。法人のお客さまへのエネルギーコンサルティング、ソリューション提案を担当。BIツールを効果的に使用した提案を心掛けるべく、日々データと向き合っている。趣味は体を鍛え上げること。趣味が高じて、フィジーク大会では初出場初入賞を果たした。




この記事を書いたメンバー

島崎 智史

島崎 智史

富山県出身で純喫茶巡りと日本酒が趣味。日系企業さまの海外拠点へ省CO2につながるソリューションを提供しています。お客さまのリアルな声から会社を動かし、ソリューションを通してお客さまの課題を解決することが使命。ゼロカーボン板では、普段からの何気ない疑問に真摯に向き合う場所を目指して執筆に取り組んでいきます。

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記事公開日:2023/06/15 最終更新日:2023/07/20

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