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建築目線でのゼロカーボン

記事公開日:2022/11/29 最終更新日:2023/09/20
皆さん、こんにちは!

関西電力には関西電力株式会社一級建築士事務所がございます。
https://sol.kepco.jp/others/cm/

今回は、法人のお客さまへのゼロカーボンソリューションに試行錯誤している私、小出が、普段から建築の分野に携わっている方に、「建築目線でのゼロカーボン」について、色々と尋ねてみたいと思います。

・・・お! いました、いました。
土木建築室 建築グループ に所属する 岩井マネジャー。爽やかですね~。
では早速インタビューさせてください。


写真左 岩井/写真右 小出


小出:まずは岩井さんの自己紹介を。普段どのような業務をされていますか?
岩井:関西電力一級建築士事務所で、建物を中心としたソリューションサービスを提供する窓口を担っています。
具体的には、建築士事務所の運営をはじめ、営業活動・営業戦略・新規サービス事業の開発などいろいろ取り組んでいます。
小出:なるほど~。まさに建築分野の目線で、世の中の環境変化を捉えながら、新たなサービスを創り出そうとされているのですね。


建築物に求められるゼロカーボン

小出:では早速本題に。
世界的にゼロカーボンの機運が高まっていますが、建築業界のゼロカーボンはどのような潮流でしょうか。
岩井:・・・いきなり堅い話題ですね(笑)。
ゼロカーボンに向けて、建築業界の役割は大きいと言われています。
国の「2050年カーボンニュートラル宣言」で、温室効果ガスを2030年に46%削減する目標(2013年度比)がありますが、図に示す通り、業務部門では51%家庭部門では66%と、平均を上回る削減目標が課されています。


図 地球温暖化対策計画の概要(出典:環境省 地球温暖化対策計画の概要)

実は、業務その他部門・家庭部門は、建物の使用に起因するCO2排出量が多くを占めると言われております。
また、建物のライフサイクルでみると、建設時・運用時・解体時でCO2が発生しますが、30年や50年など長期的な建物利用を前提にした場合、運用時のCO2排出量の比率が高まるので、いかに運用時のCO2を低減できるかがポイントです。


ZEB、ZEH、そしてウェルネス

小出:なるほど~、建物は長く使いますし、長期的な視点が欠かせませんね。
運用時のCO2低減には何が重要でしょうか?

岩井:設計時点で、ZEB (ゼブ) やZEH (ゼッチ) など、省エネに配慮した環境性能の高い建物を追求することが重要です。
小出:ZEB、ZEH・・・、昨今、よく聞くキーワードですね。
岩井:そうです。
ZEBとはネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング、ZEHとはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、省エネの工夫や再生可能エネルギーによる創エネで、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。
国も2030年に目指すべき住宅・建築物の姿として、「新築される住宅・建築物についてZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能が確保されていること」と掲げており、実現に向けて積極的に補助金を交付するなど、後押ししております。

岩井:省エネも重要ですが、昨今のコロナ禍をきっかけに、働き方も大きく変わりました。
テレワークが定着したことで、オフィスでは、フリーアドレスに代表される固定席がないフレキシブルで自由度の高いオフィス空間も増えてきており、快適性やウェルネス(身体的・精神的・社会的に健康で安心な状態)への配慮が重要視されつつあります。
CASBEE-WO(ウェルネスオフィス)やLEEDといったウェルネスを評価できる認証制度を取得する企業も出てきて、不動産価値が向上したというデータもあるようですね。

小出:環境性能が高いことはもちろん、やっぱり働くなら快適な空間がいいですよね~。
岩井:快適な空間で働くと、やる気もアップしますよね。
ゼロカーボンに話を戻しますが、建物にCO2排出量の少ない資材を積極的に採用する動きもあります。
例えば、住宅以外のビルや学校で、柱や梁を木材で設計した木造建築物とする事例も増えていて、木材は炭素を吸収しますから、建設時のCO2排出量をマイナスで評価できるというメリットもあり、政府も後押ししています。
建設会社ではCO2排出量が少ないコンクリートを競うように開発していて、ある会社ではCO2排出量が100%削減を超えるコンクリートの開発までしている、と話をされていました。
工事中も重機を動かすための燃料をCO2フリーな燃料に転換する取り組みも進められていて、「ゼロカーボン建築」や「ライフサイクルZEB」などのキーワードも掲げるなど、建築業界のゼロカーボンの動きはますます盛んになっています。


関西電力の建築の取組

小出:ふむふむ。ゼロカーボンの潮流は建築業界にも大きな影響を与えていますね。
では、関西電力として自社建物へのゼロカーボンの取り組みはいかがでしょうか?
岩井:我々エネルギー会社の使命として、ZEBのようなキーワードが出る以前より、時代の最先端となる省エネ技術を計画・導入するなど、環境性能の高い建物を追求してきました。
例えば、神戸関電ビルでは、ZEB評価技術の1つである自然換気に当時から注目し、シンボリックな無線塔を活用した自然換気利用システムを導入して年間の空調エネルギーの削減に貢献しています。


神戸関電ビル

岩井:本店ビルでは、未利用エネルギーである河川水を利用した地域冷暖房プラントを設置し、本店ビル以外の建物にも熱供給を行っており、省エネだけでなく都市部のヒートアイランド化の抑制にも貢献しています。
小出:河川水を利用…。街中にはまだまだ使えていなかったエネルギー源が眠っているのか~。


本店ビル
    
岩井:旧南大阪営業所(現在は、グループ会社である関西電力送配電㈱の所管建物)では、汎用的な省エネルギー技術の組み合わせにより、低コストな省エネルギービルを目指しました。
現在の「おまかSave-Air」の原型となる空調最適制御手法も採用しており、運用後の実績値は、標準建物に対して、50%以上の省エネ(ZEBready相当)を実現できました。
小出:なんと!おまかSave-Airは自社で培った技術から生まれたのですね。


旧南大阪営業所
    
岩井:これらの建物でのコミッショニング※を通じて得られた成果を社会にも発信していて、有難いことに著名な学会からも省エネ技術に関連する表彰を頂いております。
※コミッショニング(既設建物):現状の運用性能を分析し、より適切な運転にするために必要な調整や改修、ならびに運転の最適化を提案し、性能検証して実現するプロセス(出典:建築設備コミッショニング協会)

小出:従来から先進的な取組みに積極的なのですね。
岩井:その通りです。
当社は2007年頃から社会に先駆けて「エネルギーマネジメント(以降、エネマネ)」にも取り組みました。
自社建物に電力量などを計測するシステムを導入し、コミッショニングと改善活動を継続してきた結果、エネルギー消費を50%以上、削減できました。
小出:50%以上!?すごい実績ですね。

岩井:建物の利用者をはじめ、関係者のみなさまにご協力をいただいた賜物です。
余談ですが、真偽はさておき、当時はエネマネという言葉が世の中に普及していなかったこともあり、エネマネという造語は当社発信だ、とおっしゃる先人の方もおられます。(笑)
小出:「エネマネ」・・・、自称、当社発信ということですね(笑)


培った技術・ノウハウをお客さまに広げていきたい

小出:これからのゼロカーボン時代に向けた新たな取組みは、いかがでしょうか?
岩井:エネマネの取組みを拡大してスマートメータを活用したエネマネに挑戦しています。
また、建物のZEB化を目指し、太陽光や蓄電池、空調機器等を連携させて電力消費をコントロールする取組みにも挑戦していきます。
小出:建物側のゼロカーボンに向けた取組みがどんどん進んでいるのですね。
岩井:働く環境の改善による生産性向上の研究にも取り組んでおり、「生産性の高いオフィスとは何か」をテーマに、学識者と共同研究して、評価ツールも開発しました。
環境性と生産性の両面で今後の社会に必要とされる建物を展開したいですね。
小出:快適な空間がどんどん増えるよう、期待しています!

小出:このような建築分野の知見・取組みを、お客さまや社会の皆さまのゼロカーボンにも是非役立てたいと思いますが、具体的な取組みはいかがでしょうか。
岩井「コンストラクション・マネジメント サービス」でお客さまの立場に立って、新築建物の建設プロジェクトの推進をサポートしております。
一般的なコンストラクションマネジメント(以下、CM)サービスは、工程やコストの目標をいかに達成するかをCM事業者が管理し、建設プロジェクトを成功に導く役割を担います。
そこに加えて、関西電力では、新築建物にゼロカーボンをお求めになるお客さまには、建物のZEB化やそれに繋がる様々な削減方策と関西電力のゼロカーボンメニューもご提案させていただきます。
また、運用後もご支援させて頂き、エネマネの知見を活かした「エネマネサービス」などを通じて、お客さまの省エネや維持保全にも貢献いたします。

小出:これから建物の新築、改修を計画しているお客さまにはピッタリのサービスですね!
ゼロカーボンとは切っても切れない建築分野、これからも目が離せないと痛感しました!
今日は貴重な情報をお聞かせいただき、ありがとうございました。



※本記事は作成者個人の意見や感想に基づき記載しています。
※感染症対策を十分考慮した上、撮影時のみマスクを外して撮影しています。
※この記事は2022年11月時点の情報に基づき作成しております。


この記事を書いたメンバー

小出 健人

小出 健人

和歌山県出身、趣味は家族旅行で、大学では気象学を専攻。法人のお客さま向けのソリューション企画・運営の全体総括を担当。入社当初から環境問題に興味があり、脱炭素の課題解決に使命感を持って取り組んでいる。本サイトを通して、「地球にありがとう」の気持ちを少しでも広げていけたら、と思っています。

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