こんにちは。法人営業Gの平野です。
ゼロカーボン板には新入社員時代に登場して以来、2年ぶり2度目の登場となります。
あれからもう2年もたったと思うと、時の流れとは恐ろしいものですね、、、
(新入社員時代の記事はこちら)
現在は営業マンとして、規模の大きな工場を多く抱える産業系のお客さまを担当しています。
関西電力の持つアセットを最大限活かし、省エネ、省CO2に取り組まれているお客さまのサポートをしています。
さて、みなさんは「CCS」という言葉を聞いたことがありますか?
急にそんなことを言われても、、という話ではありますが、CCSは
「Carbon dioxide Capture and Storage」の略語であり、
簡単に説明すると、「産業活動において発生する二酸化炭素(CO2)を分離・回収し、地中等に貯留する技術」のことを指します。
関西電力では、火力発電所でこのCCSにチャレンジしています。
我々関西電力も、水力発電所や原子力発電所など、発電時にCO2が発生しない発電設備を多く所有していますが、やはり火力発電所での発電時にはCO2を排出してしまいます。
では火力発電所をすべて廃止できるのかといえばそんなことはなく、高い調整力を持った火力発電は、電力の需給バランスを保つために必要不可欠な存在なのです。
↑電力需要と発電量のイメージ(資源エネルギー庁ホームページより)
電力の需給バランスを保つため火力発電は必要不可欠だが、CO2を排出してしまう、、、
この問題を解決できる可能性があるのが、CCSです。
発電時に発生するCO2を回収し、有効活用することができれば、2050年カーボンニュートラルの実現に大きく近づくことは間違いありません。
現在、関西電力はCCSの実現のために多くの取り組みを実施しています。
その中で、関西電力の舞鶴発電所にて実施中の「国内初」の取り組みである、「固体吸収材を用いて石炭火力発電所の燃焼ガスからCO2を分離・回収」し、「液化したCO2を船舶で輸送する」実証実験についてご紹介します!
舞鶴発電所は、平成16年に1号機、平成22年に2号機が運転を開始しました。
現在も関西電力唯一の石炭火力として活躍している発電所です。
1号機、2号機の合計出力は計180万kWで、これは約400万世帯分の電力を賄える能力となっています。
こちらが舞鶴発電所の全体像。
左側に並んでいる2棟の四角い建物がそれぞれ1号機、2号機建屋。ここで石炭をボイラーで燃焼させて蒸気を生み出し、タービン、発電機を回して発電しています。(火力発電のしくみ)
中央~右側に5棟並んでいるのが石炭を貯蔵しているサイロで、ここから石炭を輸送しています。
今回の実証試験は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業にてCO2分離・回収時の運用性・経済性の評価、船舶輸送の事業性の検討などを目的としています。
舞鶴発電所にて発電時に発生する燃焼排ガス中のCO2を分離・回収し、液化したCO2を船舶にて主に北海道の苫小牧との間を繰り返し輸送し、事業性の検討を行っています。
CO2分離・回収については川崎重工業株式会社(KHI)と公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)が、CO2の液化、船舶輸送については 日本CCS調査株式会社(JCCS)が実証試験を行っており、関西電力は実証試験を実施する場所およびユーティリティ(水・蒸気など)の提供や、実証試験設備の建設工事から実証試験にかかる必要な行政手続きおよび地元への対応、設計や実証試験に際する助言など、本実証事業に協力しています。
↑COS分離・回収のフロー図(当社プレス資料より)
↑CO2の液化~船舶輸送の流れ(当社プレス資料より)
今回の実証実験では、「国内初」の取り組みとして、CO2の分離・回収に固体吸収材を用いています。
CO2の吸収に固体吸収材を利用する固体吸収法は、CO2吸収液を用いる化学吸収法と比べ、
吸収したCO2の脱離に要するエネルギー消費量を低減できることから、エネルギー効率の高い技術として期待されています。
こちらが先ほどの装置で回収し、液化装置にて液化されたCO2を貯蔵するためのタンクです。
CO2をマイナス30度~マイナス50度まで冷却し、液化することで、気体の時よりも多くのCO2を貯蔵することができます。
このタンクに貯蔵されたCO2を船舶に移送し、北海道苫小牧市との間を繰り返し輸送する、といった流れです。
今後、さらなる実証試験等により、より低コストでのCO2分離・回収技術およびCO2船舶輸送技術の確立、ならびに国による法整備がなされ、早期でのCCSの事業化が実現することを期待したいです。
我々関西電力では、「ゼロカーボンビジョン2050」を掲げ、カーボンニュートラルの実現を目標としています。
この目標を達成するためには、この舞鶴発電所のCCS実証試験への参画・協力をはじめ、様々な取り組みを加速させていきます。
※本記事は作成者個人の意見や感想に基づき記載しています。